
シミ取りレーザーの施術に興味があるものの、「シミが再発した」「シミ取りをしたのに悪化した」という噂を耳にして、レーザー治療に踏み切れない方も少なくないでしょう。
シミはレーザー治療をした後に、いったん色が薄くなるものの、再び色が濃くなり、シミが再発したかのように見えることがあります。
この症状は『炎症後色素沈着』といい、いわゆる『戻りシミ』と呼ばれています。
この記事では、シミ取りレーザー後に起こる色素沈着について、予防法と対処法、術後の経過、気になる場合の注意点などを紹介します。
シミ取りレーザー後の色素沈着とは

シミ取りレーザー後の炎症後色素沈着は、術後しばらくして生じてくるため『戻りシミ』と呼ばれることがあります。
しかし、実際には元のシミが戻ってくるわけではありません。
ここでは、シミ取りレーザーの炎症後色素沈着について紹介します。
ダウンタイムの症状のうちの一つ
炎症後色素沈着は、シミ取りレーザーのダウンタイム中に生じやすい反応の一つです。
レーザー照射後に起こる一時的な症状であり、時間の経過とともに改善するのが一般的です。
レーザー照射を受ける際は、術後の経過として、炎症後色素沈着が起こり得ることをあらかじめ理解しておきましょう。
炎症後はメラニンが過剰に生成されやすい状態になる
レーザー後の炎症後色素沈着は、以下のような理由で生じます。
レーザー光がメラニンに照射されると、熱作用により皮膚に炎症が起きます。
その刺激により、メラニン色素を作る細胞であるメラノサイトが活性化して、メラニンが過剰に作られ、色素沈着が生じます。
また、レーザー後の肌はデリケートな状態になっているため、外部からの刺激を受けやすく、紫外線を浴びたり、肌に刺激を与えることで、色素沈着が濃くなったり、長引く原因になります。
色素沈着を防ぐためには、術後に紫外線対策をすること、肌に刺激を与えないことが重要です。
ターンオーバーが乱れていると長引く
炎症後色素沈着は他の症状に比べて長引く傾向にあり、特に肌の生まれ変わりであるターンオーバーが乱れている方は注意が必要です。
色素沈着が改善するまでは一般的に3ヶ月〜半年ほどかかるといわれ、人によっては1年以上を要するケースもあります。
メラニンはターンオーバーによって徐々に排出されるため、ゆっくりと目立たなくなっていく場合が大半です。
年齢や生活習慣の影響でこのサイクルが滞っている場合、まずは保湿や生活習慣など、ターンオーバーを正常化していく治療やケアを行うことが大切です。
シミ取りレーザー後の炎症後色素沈着の予防法と対処法

ここでは、シミ取りレーザー後の炎症後色素沈着の予防法と対処法を紹介します。
摩擦をしない洗顔
施術後の洗顔やクレンジングでは、肌をこすらないように気をつける必要があります。
その理由として、クレンジングの時の刺激がデリケートな状態の肌に負担をかけてしまう場合があるためです。
クレンジングは「なじませる・流す」といった工程で肌を擦る動作が多いため、より慎重なケアが求められます。
クレンジング剤をなじませる際の摩擦は、刺激に敏感な肌にとって負担となります。
クッションのような役割をする厚みのある感触のものや、擦らなくてもメイクが浮き上がりやすいアイテムを選び、優しく撫でるように洗うことを意識しましょう。
トラネキサム酸とビタミンCの内服
トラネキサム酸とビタミンCの内服は、炎症後色素沈着を和らげる効果が期待できます。
トラネキサム酸はメラニン生成抑制や、炎症を抑制する作用があります。
また、ビタミンCは抗酸化作用でメラニンの生成を抑制する働きがあるといわれています。
併用すると相乗効果があるとされ、レーザーの施術前から処方するクリニックも多くあります。
紫外線対策と保湿を徹底する
施術後の肌は、デリケートで日差しなどの影響を受けやすい時期のため、色素沈着を早く落ち着かせるためには紫外線対策と保湿が重要です。
紫外線は季節を問わず降り注いでおり、施術後の肌に受ける紫外線のダメージは、肌トラブルを長引かせる原因の一つとなります。
適切な対策を行わないと、かえってシミが目立ちやすくなったり、新たなシミを作る原因にもなります。
また、紫外線対策と併せて保湿を行うことで、外部刺激に左右されにくい健やかな状態を保ちやすくなります。
外出時は日焼け止めを活用し、日傘や帽子を併用して、特に施術部位に直射日光が当たらないよう工夫して過ごしましょう。
塗り薬の処方
炎症後色素沈着がなかなか引かない場合、クリニックでハイドロキノンや高濃度レチノールなどの塗り薬を処方してもらうのが有効です。
- ハイドロキノン:メラニンの生成を抑え、色素沈着の改善を促す効果が期待できる
- 高濃度レチノール:ターンオーバーを促進し、色素の排出を助ける
処方薬は市販品よりも有効成分の濃度が高く、使用にあたっては医師の指示に従って適切に使用する必要があります。
シミ取りレーザー後の経過

シミ取りレーザーの経過の中で、どのタイミングで炎症後色素沈着が現れるのかを知っておくと、予期せぬ変化にも慌てず対応できます。
ここでは、施術当日から数ヶ月後までの肌の変化について、段階を追って紹介します。
施術直後
シミ取りレーザーは、ターゲットに反応して熱や衝撃波として作用するため、施術直後の患部は軽いやけどのような状態になるのが一般的です。
照射部位には赤みやヒリヒリとした痛みが生じやすいですが、多くは施術後の数時間〜数日以内に自然に治まります。
クリニックによっては、デリケートな患部を保護するため、テープを数日間貼るケースも多いです。
かさぶたが自然に剥がれる状態になるまで、患部を無理に擦ったり触ったりせず、清潔な状態を保つよう心掛けてください。
3日後
施術から3日ほど経つと、患部にかさぶたが形成され始め、人によっては軽い痒みを感じることがあります。
一時的にシミがかさぶたになり、元のシミより濃く見える場合もありますが、これはレーザー後に生じる自然な反応です。
かさぶたは無理に剥がしたり掻いたりすると色素沈着を悪化させる恐れがあります。
かさぶたが自然に剥がれ落ちるまで、触らずに見守りましょう。
施術後10日〜2週間
術後10日頃になると、クリニックによってはハイドロキノンなどの外用薬を処方する場合があります。
前述の通り、レーザー照射部位に炎症後色素沈着が生じる可能性があるため、その予防や治療のためです。
そして術後2週間になる頃には、多くの場合かさぶたが自然に剥がれ落ち、下から新しい皮膚が見えてくるようになります。
この時期は一時的にシミが目立たなくなるため、治療の効果を実感しやすいタイミングです。
新しい皮膚は非常に薄く刺激に弱いため、紫外線や摩擦による刺激を与えないよう、注意して過ごすことが大切です。
4週間後
かさぶたが剥がれて一度は肌が明るくなったように感じられますが、術後4週間ほど経つ頃には『戻りシミ(炎症後色素沈着)』が現れてくる場合があります。
色素沈着は治療による一時的な反応であり、以前のシミが再発したわけではありません。
多くは時間の経過とともに徐々に薄れていきますが、この時期に強い摩擦や刺激が加わると、症状が長引く可能性があります。
術後の経過には個人差があり、早々に目立たなくなる方もいれば時間がかかる方もいるため、炎症後色素沈着が生じた場合も、過度に心配する必要はありません。
3ヶ月〜半年後
シミ取りレーザーから3ヶ月ほどが経過すると、炎症後色素沈着がピークを過ぎて、徐々に薄くなっていく段階に入ります(個人差があります)。
多くの場合はシミが目立ちにくくなり、新しく再生された肌も周囲の皮膚の色味になじんで、自然な肌色に近づいていきます。
ただし、体質やケア・術後の状況によって、色素沈着が気にならなくなるまで半年ほどかかったり、人によっては1年程度かかる場合もあります。
不安な場合は医師と相談しながら、保湿と紫外線対策を焦らず根気よく続けていきましょう。
シミ取りレーザー後に色素沈着が気になる場合の注意点

シミ取りレーザー後の炎症後色素沈着は多くの人に見られる症状だからこそ、不安な時期を乗り切るためのポイントを理解しておくことが大切です。
ここでは、シミ取りレーザー後の炎症後色素沈着を長引かせないための注意点について紹介します。
かさぶたを無理に剥がさない
シミ取りレーザー後に形成されるかさぶたには、その下で再生される新しい皮膚を外部刺激から守る重要な役割があります。
かさぶたを無理やり剥がすことは、まだ未熟な皮膚を外界にさらし、炎症後色素沈着を引き起こす原因となります。
かさぶたは一般的に10日〜2週間程度で自然に剥がれてくるので、それまではできるだけ触らないように心掛けましょう。
対処法を根気強く継続することが大切
シミ取りレーザー後の炎症後色素沈着は、正しいケアを続けて肌の回復を待つことが、改善への近道です。
- 摩擦をしない洗顔
- トラネキサム酸とビタミンCの内服
- 紫外線対策と保湿を徹底する
- 塗り薬を処方してもらう
これらの適切なケアを毎日根気よく継続することが大切です。
シミ取り治療に適した季節を選択する
シミ取りレーザーの治療を受ける時期は、紫外線量が比較的少ない時期である11〜3月頃に計画するのが適しています。
紫外線のリスクはどの季節でもゼロにはなりませんが、炎症後色素沈着のリスクを減らすには、冬のほうが安心して治療を受けやすい時期といえます。
また、冬はマスク、帽子などのアイテムを暑い時期より取り入れやすいメリットもあります。
反対に、紫外線量が多い季節に施術をする場合、レジャーの予定を調整するなど、通常よりも徹底した紫外線対策が必要です。
シミの種類を正しく診断できるクリニックを選ぶ
シミ取りレーザー治療は、シミの種類を見極めることが大切です。
一般的なシミ以外に、強い刺激が逆効果になる『肝斑』や『そばかす』などが混在しているケースも珍しくありません。
症状ごとに適した治療方法は異なるため、事前の丁寧な診断は非常に重要です。
個々の肌状態に合わせた治療を提案できる医師、信頼できるクリニックを選びましょう。
心配な場合はクリニックに相談
炎症後色素沈着がなかなか改善されない場合や、経過に強い不安を感じる際は、遠慮せずにクリニックに相談しましょう。
自己判断で他の美容施術を受けたり、刺激の強い美白化粧品のような市販品を試したりすることは、かえって症状を悪化させる恐れがあります。
専門医に相談することで、肌状態に合わせた外用薬や内服薬の調整、その他の美容施術などの適切な処置を提案してもらえるメリットがあります。
「順調な経過のため見守りましょう」という診断を受けるだけでも、炎症後色素沈着の長いダウンタイムを乗り切る不安を軽減してくれます。
まとめ
シミ取りレーザー後の色素沈着は、施術後に出現する一時的な症状であり、半年ほど時間をかけて徐々に改善していきます。
焦って自己判断でケアをせず、肌の再生力に任せて待つことが大切です。
正しいケアを継続して、必要に応じて専門家に相談し、対処法を検討しながら、不安な時期を乗り切りましょう。
あや皮フ科クリニックでは、『ピコシュアプロ』を採用しており、シミ取りレーザー後の副作用である炎症後色素沈着をできる限り軽度に抑えるように治療しています。
炎症後色素沈着が気になってシミ取り治療に踏み出せない方、現在悩んでいる方は、ぜひ一度ご相談ください。
監修者情報
あや皮フ科クリニック 院長
山口 綾(やまぐち あや)医師
資格・所属学会
- 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
- 日本皮膚科学会 正会員
- 日本美容皮膚科学会 正会員
略歴
- 2005年香川大学医学部卒業。京都大学医学部附属病院皮膚科、京都医療センター皮膚科、宇治武田病院皮膚科医長等を経て、2019年に京都市上京区にて「あや皮フ科クリニック」を開院。
- 一般皮膚科から美容皮膚科まで専門知識に基づき幅広く対応し、日々診療を行っている。
- 院長ごあいさつ
https://aya-hifuka.kyoto/greeting.html