
ピコレーザーはシミの改善に有効な治療法ですが、「施術を受けたのにシミが消えない」と感じる方もいます。
シミが消えない原因は、「適切な照射出力・回数が足りていない」「照射モードが適切でなかった」「炎症後色素沈着が生じた」など、さまざまな可能性が考えられます。
照射設定やセルフケアの見直しで改善できる可能性があるため、焦らず対応しましょう。
この記事では、ピコレーザーでシミが消えない原因と対処法について解説します。
ピコレーザーでシミを悪化させないための注意点もまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。
ピコレーザーとは
ピコレーザーとは、ピコ秒(1兆分の1秒)という非常に短い時間でレーザーを照射する医療用レーザー機器です。
従来のレーザー治療ではナノ秒(10億分の1秒)の照射時間が一般的でしたが、ピコレーザーはそれよりもさらに短い時間で照射できる点が特徴です。
照射時間が短いため、メラニン色素に対して強い衝撃波を与えながらも、周囲の皮膚への熱ダメージを抑えられるメリットがあります。
また、ピコレーザーには目的に応じて使い分けられるいくつかの照射方法があります。
| 照射方法 | 特徴 |
|---|---|
| ピコスポット | 境目がはっきりとしたシミやそばかすに対し、高出力レーザーをピンポイントで照射する方法 |
| ピコトーニング | 低出力のレーザーを顔全体に照射する方法で、シミや肝斑など幅広い肌悩みに対応可能 |
| ピコフラクショナル | レーザーを点状に照射することで、シミだけでなく毛穴やニキビ跡、肌のハリ・ツヤの改善を目指す方法 |
このように複数の照射方法があるため、シミやそばかす、くすみ、小じわなどさまざまな肌悩みに対応可能です。
ピコレーザーでシミが消えない原因

ピコレーザーはシミの改善に適した治療法ですが、治療を受けたにもかかわらず、シミが改善しないと感じるケースがあります。
ピコレーザーでシミが消えない原因は以下の通りです。
- 照射出力・回数が足りていない
- 照射モードが適切でなかった
- 施術後のケアを怠った
- 炎症後色素沈着が生じた
- 肝斑が悪化した
- 脂漏性角化症だった
ここでは、上記6つの原因についてそれぞれ解説します。
照射出力・回数が足りていない
ピコレーザーでシミが消えない原因の一つに、照射回数や出力が足りていないケースがあります。
シミの深さや濃さは人によって異なるため、必要な回数も個人差があります。
また、レーザーの出力も重要なポイントです。
出力が低すぎる場合はメラニン色素を破壊しきれず、変化が分かりにくくなることがあります。
ただし、出力を高くすれば良いというわけではありません。
強すぎると肌への刺激が強くなり、色素沈着などのリスクが高まる可能性があります。
そのため、医師は患者さんの肌の状態を見ながら慎重に出力を調整し、必要に応じて複数回の施術を提案します。
シミが完全に消えていなくても、徐々に薄くなっている場合もあるため、経過を見ながら判断することが大切です。
照射モードが適切でなかった
ピコレーザーでシミが消えない場合、照射モードが適切でなかった可能性が考えられます。
ピコレーザーには複数の照射方法があり、シミの種類に合わせて使い分ける必要があります。
- ピコスポット:シミやそばかすに効果的
- ピコトーニング:肝斑や肌のくすみなどの悩みに効果的
- ピコフラクショナル:シミや毛穴、肌質の悩みに効果的
例えば、境目がはっきりしたシミにはピコスポットが適していますが、逆に肝斑に対して高出力のピコスポット照射を行うと、悪化する可能性が高いです。
このように、シミの種類と照射方法が合っていない場合は、思ったような結果が得られない可能性があるのです。
ピコレーザーの本来の効果を得るためには、シミの種類を正しく判断し、それに合った照射方法を選ぶことが大切です。
施術後のケアを怠った
ピコレーザーの効果を高めるためには、施術後のスキンケアや生活習慣にも注意が必要です。
レーザー照射後の肌は一時的に敏感な状態になっているため、紫外線や摩擦などの刺激を受けると、色素沈着が起こる可能性があります。
特に注意したいのは、患部にできたかさぶたを無理にはがさないことです。
早く治したいという理由で無理にはがしてしまうと、肌に炎症が起こり、シミが残ることがあります。
そのため、かさぶたは自然に取れるまで触らないことが大切です。
このほかにも紫外線対策や保湿ケアなど、医師から伝えられたアフターケアを怠ると、シミが残る原因となる可能性があります。
炎症後色素沈着が生じた
ピコレーザーの施術後に、一時的にシミが濃く見えることがあります。
これは炎症後色素沈着と呼ばれる状態で、レーザーによる刺激に対して肌が反応し、メラニンが過剰に増えることで起こるものです。
炎症後色素沈着は施術後すぐではなく、2週間ほど経ってから現れます。
レーザーを照射する前よりもシミの色がより濃く見えることがあるため、不安に感じる方も少なくありません。
しかし、炎症後色素沈着は時間の経過とともに徐々に薄くなるケースが多く、数か月かけて目立たなくなっていきます。
大切なのは、色素沈着が出たからといってすぐに追加のレーザー治療を行わないことです。
肌が落ち着くまで待ち、紫外線対策や保湿をしっかり行うことで、自然に改善していきます。
肝斑が悪化した
肝斑を合併していた場合、ピコレーザーの照射方法によっては改善が見られないことがあります。
肝斑は目の下や頬に左右対称に現れることが多い境界が不明瞭な色素斑で、一般的なシミとは原因や治療方法が異なります。
高出力のレーザーを肝斑に照射すると、刺激によって色が濃くなってしまうことがあるため注意が必要です。
そのため、肝斑に対してはピコスポットではなく、弱い出力で照射するピコトーニングが選ばれる場合が多いです。
また、肝斑の治療は1回で大きな変化が出るものではなく、複数回の施術を繰り返しながら少しずつ改善を目指していきます。
シミと肝斑が混在しているケースもあるため、正確な診断を受けることが大切です。
脂漏性角化症だった
シミだと思っていたものが、実は脂漏性角化症だったというケースもあります。
脂漏性角化症は、加齢や紫外線の影響によってできる茶色いできもので、『老人性イボ』とも呼ばれるものです。
一部のシミが時間経過で変化し、少しずつ隆起して脂漏性角化症に変化することがあります。
脂漏性角化症は皮膚が少し盛り上がっており、触るとざらつきを感じるのが特徴です。
脂漏性角化症に対してピコレーザーを照射することは可能ですが、十分な効果は期待できません。
この場合、メラニン色素を破壊する治療法ではなく、イボやホクロの除去と同じような治療法(液体窒素凍結療法や炭酸ガスレーザー治療)の方が適しています。
シミがなかなか消えない場合は、ピコレーザー治療が適していないシミの種類の可能性もあるため、医師に相談してみましょう。
ピコレーザーでシミが消えない場合の対処法

ピコレーザーでシミが消えない場合でも、いくつかの方法で改善を目指せます。
具体的な対処法は以下の通りです。
- 内服薬・外用薬を併用する
- 術後のセルフケア方法を見直す
- 医師が勧める回数まで施術を受けて様子を見る
- ほかの施術を検討する
ここでは、上記4つの対処法についてそれぞれ解説します。
内服薬・外用薬を併用する
ピコレーザーだけでは十分な変化を感じにくい場合は、内服薬や外用薬を併用することで改善が期待できます。
医療機関で処方される主な内服薬・外用薬の種類は以下の通りです。
| 内服薬 | 外用薬 |
|---|---|
|
|
これらの薬はメラニンの生成を抑えたり、肌のターンオーバーを整えたりする働きがあります。
医師の診察を受けたうえで処方してもらい、適切な使用方法・注意点を守って使用しましょう。
術後のセルフケア方法を見直す
ピコレーザーの効果を十分に引き出すためには、施術後のセルフケアが大切です。
レーザー照射後の肌は一時的に敏感になっているため、普段以上に丁寧なスキンケアを行う必要があります。
まず洗顔の際は、強く擦らないことが大切です。
刺激を与えると肌に炎症が起こり、色素沈着の原因になることがあります。
洗顔はぬるま湯を使い、泡で包み込むようにやさしく行うのがポイントです。
その後は保湿力の高い化粧水や乳液などを使用し、肌の乾燥を防ぎましょう。
医師が勧める回数まで施術を受けて様子を見る
ピコレーザーは、1回の施術で必ずシミが消える治療ではありません。
シミの種類や深さによっては、複数回の施術を行いながら徐々に色を薄くしていく必要があります。
施術を重ねることで徐々に肌のトーンが整い、シミが目立ちにくくなっていきます。
医師が複数回の施術を提案している場合は、まずはその回数まで続けて様子を見ることが大切です。
途中で不安を感じた場合は、自己判断で中断するのではなく医師に相談しながら進めましょう。
ほかの施術を検討する
ピコレーザーを受けてもシミが改善しない場合は、別の治療方法を検討することも選択肢の一つです。
シミの種類や原因によっては、別の施術の方が適しているケースもあります。
シミの種類や状態によって適した治療は異なるため、医師の診断を受けて判断することが大切です。
特に色素沈着が長期間残っている場合や、シミの種類がはっきりしない場合は、一度クリニックで相談してみることをおすすめします。
ピコレーザーでシミを悪化させないための注意点

ピコレーザーでシミを悪化させないためには、以下の点に注意が必要です。
- 患部を刺激しない
- 紫外線対策を行う
- 保湿ケアをしっかり行う
- かさぶたを無理にはがさない
- ターンオーバーを整える
ここでは、上記5つの注意点についてそれぞれ解説します。
患部を刺激しない
ピコレーザーの施術後は照射した部分の肌がデリケートな状態になっているため、患部を触ったり擦ったりすると、肌に刺激が加わり炎症が起こる可能性があります。
炎症が続くと色素沈着につながり、シミが残る原因になることもあるため注意が必要です。
特に洗顔時の摩擦には気をつけましょう。
泡で包み込むようにやさしく洗い、ゴシゴシ擦らないようにすることが大切です。
また、スクラブ入りの洗顔料やピーリングなどの刺激の強いスキンケアもなるべく控え、低刺激のものを使用することをおすすめします。
できるだけ肌に負担をかけないよう意識することで、施術後の肌トラブルを防ぎやすくなります。
紫外線対策を行う
ピコレーザー後の肌は紫外線の影響を受けやすくなっているため、普段以上に紫外線対策を行うことが大切です。
曇りの日や室内でも紫外線の影響を受けるため、毎日欠かさず日焼け止めを塗るようにしましょう。
2~3時間おきに日焼け止めをこまめに塗り直すことで、より紫外線を防ぎやすくなります。
また、帽子や日傘などのアイテムを使用して直射日光を避けるのも効果的です。
特に施術直後は肌が敏感な状態になっているため、できるだけ日差しの強い時間帯の外出を控えるなどの工夫も取り入れましょう。
保湿ケアをしっかり行う
ピコレーザー後の肌は乾燥しやすい状態になっているため、保湿ケアをしっかり行うことが大切です。
洗顔後はできるだけ早く化粧水や乳液を使用し、肌の乾燥を防ぎましょう。
保湿力の高いスキンケア製品を使うことで、肌のうるおいを保ちやすくなります。
また、肌が敏感になっている時期は、刺激の少ないスキンケア製品を選ぶことも大切です。
香料・アルコール・着色料などの添加物を含む製品は刺激になることがあるため、できるだけ低刺激のものを選びましょう。
かさぶたを無理にはがさない
ピコレーザーの施術後にできるかさぶたは、無理にはがさないことが大切です。
かさぶたは肌が回復する過程で自然にできるもので、無理にはがしてしまうと肌にダメージを与える可能性があります。
かさぶたは数日から1週間程度で自然にはがれ落ちることが多いため、触らずにそのままにしておきましょう。
ターンオーバーを整える
ピコレーザーで破壊されたメラニン色素は、肌のターンオーバーによって体の外に排出されます。
肌のターンオーバーが乱れていると、メラニンが排出されにくくなり、効果を感じにくくなることがあるため注意が必要です。
ターンオーバーを整えるためには、生活習慣を見直すことが大切です。
不規則な生活はターンオーバーの乱れにつながるため、十分な睡眠をとり、バランスの良い食事を心がけましょう。
まとめ
ピコレーザーはシミを改善する治療法ですが、適切な照射回数・出力・照射モードで施術を行わないと、十分な効果を実感しにくい場合があります。
シミが消えない場合、照射出力や回数が足りていない、照射モードが適切ではない、シミの種類がピコレーザーに適していないなど、さまざまな原因が考えられます。
効果が実感できない場合は、まず医師に相談したうえでセルフケアの見直しや他の施術を検討してみましょう。
あや皮フ科クリニックでは、ピコレーザーによるシミ治療に対応しています。
患者さんの症状に合わせた治療を提案しているため、なかなか消えないシミでお悩みの方はぜひ当院までご相談ください。
監修者情報
あや皮フ科クリニック 院長
山口 綾(やまぐち あや)医師
資格・所属学会
- 日本皮膚科学会認定皮膚科専門医
- 日本皮膚科学会 正会員
- 日本美容皮膚科学会 正会員
略歴
- 2005年香川大学医学部卒業。京都大学医学部附属病院皮膚科、京都医療センター皮膚科、宇治武田病院皮膚科医長等を経て、2019年に京都市上京区にて「あや皮フ科クリニック」を開院。
- 一般皮膚科から美容皮膚科まで専門知識に基づき幅広く対応し、日々診療を行っている。
- 院長ごあいさつ
https://aya-hifuka.kyoto/greeting.html